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Vet Surg Tokyo 動物外科診療室 東京
 

症例8:猫の不完全型心内膜床欠損症

 
症例詳細
日本猫、6か月齢、 体重3.15kg、雄
雑音と呼吸が荒いとの主訴で、診断を含めて本院に紹介来院されました。

 

心臓検査所見

心臓バイオマーカー検査
NTproBNP342pmol/l (参考基準値 <100)

X線検査所見

胸部X線検査


VHS9.0と心拡大が見られます。


VD像で、心拡大おより肺血管の拡張所見がみられます。

心エコー図検査


心内膜床の一部が欠損しており(矢印)、不完全型心内膜床欠損症と診断しました。また僧帽弁にもクレフトと呼ばれる間隙が確認されました。


左心房が二つに別れており(LA1、LA2)、三心房心と診断した。


中隔扁平化が認められ、肺高血圧症の合併が疑われます。

重度の肺高血圧症を伴う三心房心および不完全型心内膜床欠損症

ベナゼプリル、アムロジピン、PDE5阻害薬シルデナフィル

 

ベナゼプリル、アムロジピンでの治療を開始しました。肺高血圧症と症状の悪化からPDE5阻害薬であるシルデナフィルを追加で投与開始としました。現在2歳を超えておりますが経過は良好です。
複雑な心奇形で診断の難しい症例でしたが、しっかりと診断することで、比較的早期に治療を開始することができました。猫ちゃんでは、このような心奇形がたびたび認められます。呼吸器症状や雑音があった場合の心臓検査の必要性を再認識した一例でした。

 
   
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